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きみとぼくの壊れた世界

きみとぼくの壊れた世界 (講談社ノベルス) きみとぼくの壊れた世界 (講談社ノベルス)
西尾 維新 (2003/11)
講談社

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というわけで、宣告通り読了。
これは西尾先生の作品としては異端なのではないでしょうか。
かなり『好き』と『嫌い』で分かれそうです。
私はその中間、やや『好き』寄りでした。
続きに感想です。


さて、感想の前にひとつ。
この作品を読んだ方は誰しも気づいたことでしょうが、
文中にかなりの文学作品、小説、作家などが書かれています。
物語の本質には関係ないのでしょうが、読みながらピックアップしてみました。

J・D・サリンジャー(ライ麦畑でつかまえて)
少年少女(漫画)
武器よさらば(アーネスト・ヘミングウェイ)
即興詩人(ハンス・クリスチャン・アンデルセン)
三国志
じゃじゃ馬ならし(ウィリアム・シェイクスピア)
エドガー・アラン・ポー(モルグ街の殺人)
江戸川乱歩(明智小五郎シリーズ、少年探偵団シリーズ)
岡本綺堂(歌舞伎作家)
澁澤龍彦(小説家)
国枝史郎(小説家)
埴谷雄高(本名 般若豊)
匣の中の失楽(竹本健治)
HIGH SCORE(漫画)
西岡兄妹(絵本作家)
夢十夜(夏目漱石)
時計じかけのオレンジ(アンソニー・バージェス)
鈴木彩子(ミュージシャン)
エニグマ(ミュージシャン)
フランシス・F・コッポラ(映画監督)
デビット・クローネンバーク(映画監督)
ポール・エルデシュ(数学者)
ロミオとジュリエット(悲劇)
ポールとヴィルジニー(ベルナルダン・ド・サン・ピエール)
緑色の目(木々高太郎)
ゴドーを待ちながら(喜悲劇)
大下宇陀児(小説家)
アーサー・コナン・ドイル(シャーロック・ホームズシリーズ)
黒岩涙香(小説家)
ドン・キホーテ(ミゲル・デ・セルバンテス)
三銃士(アレクサンドル・デュマ・ペール)
失われた時を求めて(マルセル・プルースト)
エラリー・クイーン(小説)

これを見ると西尾先生がどんな作品が好きなのか少し分かりますね。

というわけで感想ですが、
この小説、タイトルは『きみとぼくの壊れた世界』です。
『ぼく』というのはもちろん櫃内様刻のこと。
『きみ』とはきっと病院坂黒猫をさしているのでしょう。
様刻の一人称は『僕』で、黒猫に対する二人称は『きみ』。
黒猫の一人称は『僕』で、様刻に対する二人称は『きみ』。
ゆえに、どちらの視点からでも楽しめるようにつくられているのでしょう。
次に読むときは黒猫の視点から読んでみてもいいかもしれません。

それにしてもこの物語は感想がとても書きにくいです。
何を主眼においていいのかわかりません。
何回も読んでいるうちになにかつかめるかもしれないので、
今回は様刻と、残り4人の関係からストーリーを見ていきます。

様刻と夜月。
『もんだい編』の途中まではなんとも微笑ましい兄妹だと思いましたが、
後半、正直引きました。
かつて『シスコン』と『ブラコン』を題材にあそこまでのものを書いた作家がいただろうか。
夜月のスカートを下ろして、足を舐めていたあのシーンも。
微笑ましい反面、この関係はこれ以上見ていられない…と思いました。
あそこで電話が無かったらもう駄目だったんじゃないでしょうか。
そこも西尾先生の策略…?

様刻と箱彦。
今回4人の中では一番出番が無かったけれど。
気になるのは病院坂黒猫の秘密。
様刻に病院坂にこれ以上近づかせないために(事件の解決を恐れて)ついた嘘なのか、
それともマジで病院坂はそんなことをしていたのか、
それは結局謎のまま終わりました。
マジでしてたならそれはそれでいいんですけれど、
もし前者だった場合、その箱彦の心境はどのようなものだったのでしょう。
それはあまりに偏執的、病的にも思える友情のための嘘になります。
案外一番目立たなかった彼が一番冷静に、壊れていたのかもしれません。

様刻と琴原。
正直、彼女には特に思うところはありませんでしたが、
少し考えてみると、彼女を今回のストーリー枠からはずすと、
危なげに、危うげに、それでも正常に歯車は回り続けたのではないでしょうか。
彼女は今回の事件の始まりであり終わりでもあり、そして、
すべてを狂わせるためのキーパーソンでもあったのです。
そんなキャラクターをここまでさりげなく表現するのだから
西尾維新先生は本当に素晴らしい…と思いました。

様刻と黒猫。
正直『黒猫』という名前は自分的にかなりクリーンヒットなのですが
なぜ、みなさん病院坂と呼ぶのでしょうか。
まぁ、いいですけれど。
やはり、この二人の見所は屋上のシーンでしょうか。

「人生は痛みの連続だな」

正直この台詞にはかなりきました。
なんていうんでしょうか、タイミングですね。
とてもちょうどいいタイミングでこの台詞がきたものだから
私の心の奥底に響いたのでしょう。
あとは屋上のシーン以外は、よくしゃべるやつだなぁと思った程度で、
とくになにかを思いはしなかったのですが、箱彦の話だけ気になります。
『ぶきそぼ』であきらかになるのでしょうか。

そういえば読み終わって一つ気づいたのですが、この作品、
どこか西尾先生の『あとがき』とテイストが似ている気がします。
あとがきは作家によってまったく赴きを変えますが、西尾先生は、
正直あとがきと呼べるものではありません。
しかしそれが西尾維新の『味』になっているわけですが、
今回はその『味』が普段の『言葉遊び』満載の文章とはまた
違った趣を出しているのではないでしょうか。

それにしても、最近は西尾維新の元来の作風から離れていた所為か、
うまく作品の心の部分をつかみそこねたというか、不完全燃焼のような気分です。
『不気味で素朴な囲われた世界』の前に復習しておかなければなりませんね。
『不気味で素朴な囲われた世界』は病院坂黒猫の従姉妹、病院坂迷路の話ということですが。
どうなるか楽しみですね。はやく10月になってほしいです。

| 世界シリーズ | 01:24 | comments:1 | trackbacks:1 | TOP↑

COMMENT

以下の文章はネタバレを含みます。小説を読んだ方のみ、お読みになってください。


 私は『病院坂 黒猫』の推理とは、違う見解をもっています。
 
 『数沢 六人』は剣道場で、防具を付けていなかったのではないでしょうか?
 それなら『櫃内 様刻』が、剣道場にもう一人いる人間が『数沢 六人』と分かるのに、なんの不思議はないです。
 剣道のルールをほとんど知らない彼なら、防具を付けずに互角稽古をしている2人を観ても疑問を抱かないかも知れません。(例え、それが異常だと思っても、彼は『数沢 六人』に悪意をもっています。)
 もちろん、防具なしでの稽古は、大変危険です。
 『迎槻 箱彦』は倒れている『数沢 六人』に対して、攻撃の手を休めなかったようですし、結果死んでしまうかもしれません。

 つまり、防具なしの『数沢 六人』を『迎槻 箱彦』が竹刀(もしかしたら、木刀だったかもしれません。)で何度も殴り、開放された『数沢 六人』は命の危険を感じ、体育倉庫に逃げ込んで絶命したのです。(『数沢 六人』は『櫃内 様刻』からも、以前に殺意を感じていたので、助けを求めることはないでしょう)

 私の見解を裏付けるものとして、もんだい編とたんてい編の冒頭には、『この小説には暴力シーンやグロテスクな表現が含まれています』とありますが、この小説には、一見、あくまで一見そのような、場面は見受けられません。
 しかしそれは、気づかなかっただけで、本当は明瞭に悉く、描かれていたのではないでしょうか?
 
 ご意見宜しくお願いします。

| 西尾ならありえるんじゃね? | 2010/12/18 01:06 | URL |















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