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【感想】少女不十分

少女不十分 (講談社ノベルス)少女不十分 (講談社ノベルス)
(2011/09/07)
西尾 維新

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感想、というにはいささか文章化しづらい読後感を抱かせる、そんな一冊でした。
時間をかければ、あるいは決して短くはない期間を設ければ、
それなりの、『それっぽいもの』は完成するのかもしれませんけれど、
私はそれを徹底的に放棄します。
厳密には、放棄することになってしまうと思われるので、
その打開策として、普段以上にお粗末な文章を、この先に書き綴ることにします。
感想ではない、別のものを。

それでは続きに      。


 西尾維新の作品に限らず、それぞれに個々の作品が、独特の読後感を持っているというのが私の持論であり、その例に漏れずこの『少女不十分』もまた、ひときわ珍しい他に類をみない『それ』を有していたことを先に記しておきます。だから、それぞれの作品で感想の書き方がまったく違ってくるのであって、例えばめだかボックスの場合は19ページのストーリーの感想は、25文字前後の文章が7~8行の段落が5段程度の文章でまとめ、順番ではなく結末から書いていくというスタイルをとっているし、物語シリーズなら頭から面白かったところをどんどんピックアップしていき、それについて着地点を決めることなくだらだらと書き続ける、そんなスタイルさえ定型的ではない文章を仕上げます。特にそうしなければならない、と決めてかかっているわけではないのですが、作品が自然と私にそう書かせているという感覚的なものに頼っているというのが正直なところです。

 ではこの作品において私がどういう文章を書くべきなのか考えたとき、まず最初に浮かんだのが作家『西尾維新』との共通点と相違点から見ること。この少女不十分、言うまでもなく、読むまでもなく(とまでは言いませんけれど)、この物語は作家『西尾維新』の何がしかが下敷きに書かれています。難民探偵もそんな内容だったと思いますけれど、あちらは本人が否定されてましたしね。こちらは30歳という年齢、速筆の小説家、碁盤目状の地形、朝方の執筆スタイル、1日2万歩に及ぶウォーキング、あまり類をみない変人性、大学を卒業したという点に関しては、私の知る限りの情報と食い違っていますけれど、それでも、そこから西尾先生を想起させるには十分過ぎるくらいに駒が揃っています。だから最初は西尾先生の名前を出さずに、「僕」は~なのではないか?などと最後まで濁しつつ感想を書いていこうなんて心づもりで途中途中に付箋なんかを貼っていたのですけれど(ちなみによくやります。物語シリーズなんかはネタを後で拾い直すのが大変なので)、途中からそんなことをすっかり忘れて、というか無意識のうちにこの行為に意味は無い、というか後々活きてくる行為ではないなと気づいたのか、最初に貼った2~3枚のみにとどまりました。

 では、何をよりしろに書いていけばいいのか、結局読了するまで考えることもなく、さりとて読後の今現在にいたったところで、皆目見当もついていないところではあるのですけれど、この記事のタイトルを書いたところでとりあえずの方針を固めました。自分が感想を書く、あるいは感想を抱くという視点から、この作品を、あるいは今までの作品をどのように捉えてきたのかという見方から、いっちょ書いてみようかと。だからやはり、これは決して感想などではなく、というか感想の感想などと矛盾とも破綻とも表現できる行為を今からはたらこうとしているのだから、そもそもここに書き連ねることでさえないのかもしれませんけれど、それでも書いてみようと思います。もしかしたら、こんな機会はあと10年訪れないのかもしれないわけだし。

 前にもどこかで語ったことがあるような気がするのですけれど、私は感想を書くときはまずストーリーよりもキャラクターを見るんですよね。いえ、書くときはストーリーから書くこともあるので、この場合は感想を抱くときはと訂正するべきでしょうか。だから、キャラクターに感情移入し辛い、感情移入できなくともキャラクターのことを最後まで理解できなかったときの、後味の悪さはバッドエンドのストーリーよりも辛いものがあります。その点で見たときの少女不十分。これはまぎれもなく苦虫を噛み潰すような読後感でした。登場人物はたったの二人。小説家志望の大学生『僕』と、事件のキーパーソンとなる少女U。どちらも理解できなかった。私は決して人付き合いの得意な方ではないし、この大学生と同じかそれ以上にはあまり想起したくない過去を抱えているつもりではありますが、その前提条件をもってしても理解不能でした。共感はできても理解はできない。Uについては語るまでもないでしょう。だからこそ、もしかしたらこの1冊の本は本当に久しぶりか、あるいは初めてかもしれないくらいに、最初から最後まで客観的に読み進めることができた本かもしれません。

 キャラクターが駄目なら世界観です。もちろんそれについては自分が生きているこの世界と照らし合わせて、違ったらはいさようならというわけにはいかず(そんな考えでいれば瞬く間にSFや時代物の門扉は閉じられる)、どれだけ情景が頭に思い浮かぶか、例えば入り口がいかにも現代にありそうなものだったとしたら、その主人公ないしは登場人物が異世界に飛ばされる過程をそのキャラクターと同時に体感することによって、スムーズに世界観に入り込むことができるわけですけれど、なにもこれは作家の技量にすべてを依るものではないというのが私の持論です。知り合いに、第一章、どころか序章で世界観に入れない作品をとことん嫌い、以降その作家の作品を一切読まないという、本読みの私にとってはあり得ない考え方の持ち主がいるのですけれど(それでいてSF等が主食なのだから困ったものです)、ここで言いたいのはどんな作品にもありとあらゆる角度から見ることができる可能性が用意されているということです。作品は作品としてもう完成してしまっているものなので、メタモルフォーゼでもしない限りその形を変容させることはあり得ませんけれど、幸いにもこちらには様々な視点でものを見ることができる便利な機能が無限に備わっているのです。そういう思考は私の中にはまだあまりなくて、それができる人が少し羨ましくも感じるのですけれど、それでも多少は自分にそういう物の見方が備わっていると考えていました。ついさっきまで。

 この小説の世界観をスムーズに受け入れられなかったという点について、責任転嫁を試みるのならば、最初から最後までずっと語られてきた「本作は小説ではない」というフレーズが主な原因だと考えます。もちろん、小説じゃないんだという認識で読み進めたかというとまったくそんなわけはなく、そしてさらに言うならこれはノンフィクションで実は柿本先生のモデルと思われる西尾先生は過去に女子小学生に拉致監禁されたことがあるんだ!なんて倒錯した考えで見ていたつもりは一切ありませんが(サンタクロースを信じるより難しい)、それでも感想を感想として書けないという理由をいくつもの可能性から抜き出してみたならば、小説として破綻していたからこそなのではないか、というのが一番大きいところです。他にもいくつか思うところはありますけれど、例えば食欲について。作中に数日絶食するなどの話が出てきましたけれど、最近身体を壊して同じ状況に陥った私にしてみれば、まさにこれはタイムリーな話で、逆にこれが共感ならぬ同族嫌悪的な意味合いで頭の中に落とし込まれたこととか、他にも思い当たる小さな理由は見つかりますけれど、そんなの、カレーに隠し味として入れた食材が、カレーの味に完全に飲み込まれるようなもので、たとえ他にもっと濃い味の何かがあったとしても、小説ではないというフレーズに勝る一文が見つかることはなさそうです。

 あとはあまりこれは考えたことがない気がしますが、今ふと思いついた原因のひとつとして、ラストシーンも加えておきましょう。事件だったら事件の顛末。あとは、後日談などでしょうか。どんなに絶望と暗闇に包まれた、先の見えない悪魔的な悲劇だったとしても、たった一言添えるだけでハッピーエンドだし、どんなに幸せに突き進み、誰もが笑って未来を夢見るシーンが続いたとて、最後の最後、1行でもそれを覆す1文があったとしたらそれはバッドエンドです。しかし、そのどちらだったところで、感想がかけないなどと抜かすことはあり得ません。西尾作品にはハッピーエンドのストーリーもバッドエンドのストーリーも両方あり、(ブログの創設時期の関係で)このブログではすべての感想を書いてはいませんが、それでもどちらの終わり方だったとしても感想は書き続けてきました。でもどうでしょう、この作品はそのどちらでもないのではないかと思います。先ほど書いたようにどちらともとれるのではないか、という一言で片付けてしまえばそれまでですけれど、私にとってこの終わり方はまさに新境地、西尾維新の、ではなく1冊の本のラストして、まったく新しいものであると感じました。

 最後に、やはり内容に少しでも触れておきたいという未練のようなものが少し湧き出てきたので、ストーリーについて一箇所だけ触れておきたいと思います。西尾作品の作品をすべてしる人であれば、きっとここに一番食いついたのではないかと思うので。戯言シリーズ。世界シリーズ。りすかシリーズ。人間シリーズ。物語シリーズ。ニンギョウがニンギョウ。刀語。蹴語。難民探偵。なことシリーズ。失敗シリーズ。真庭語。今まで絶対にやってこなかった、今までに出版してきたすべての物語が、一冊の本の中にこうして形となって登場したことは、10年間応援してきた読者にとってはなんとも感慨深い気持ちになったことでしょう。私は出会ったのが少し遅く、9年程度ですけれどそれでも思うところはありました。もう少し出会うのが早ければ、なんて言いません。むしろ、私はあのとき、出会うべくして出会ったのです。10年前、後に西尾維新と出会わせてくれることになる友人と出会えたことに感謝。9年前、あの道でクビキリサイクルを貸してくれた友人に感謝。4年前、自由に触れるPCを手に入れ、ブログのキッカケを得ることができた環境に感謝。日々この場に足を運んでくださるすべての方々に感謝。数え尽くせない感謝がこのブログにはたくさん詰まっています。色褪せない過去に。輝かしい未来に。現在あるすべてのものに、一言お礼を言わせていただきます。

ありがとう。

| 未分類 | 22:52 | comments:11 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

西尾維新を知らない人が読んでもつまらないと思う。
西尾維新を知っている人が読んでもつまらないと思うかもしれない。
けれど、西尾維新が好きな人にはいろいろ想い感じる事があるそんな作品だと思う。

自分は西尾維新が大好きなんだなあと再認識させられました。

これからもよろしくお願いします。

| なうしろ | 2011/09/07 20:20 | URL |

まさに十年の集大成のような小説(ではない?)でしたね。
今まで読んだ本の中で一番面白いかはともかく、一番衝撃的な本でした……。

| 名無し | 2011/09/08 03:02 | URL | ≫ EDIT

前例はあります。デヴィッドリンチの「ストレートストーリー」(リンチと西尾維新は根底にあるものが同じと感じるのは私だけでしょうか)。パットメセニーの「ゼロ・トレランス・フォー・サイレンス」など。いずれもそれまでの作品に対する否定型をとりつつ剥き身の本質丸出し作品。
そういった意味では今回は西尾維新らしい作品だと思い楽しませてもらえました。
これがこのタイミングで来たか。。。という感じです。

多忙すぎる中、唐突とも思える新作リリースが何故このタイミングかを考えると、これを書くには10年の歳月が必要だったが「実際に書き上げたのは大震災を受けて」の事と推測します。そしてそれが必要だったと。

人付き合いが苦手とかそういうレベルではなく現実に異形の者、「普通」から外れてしまった人たちは世の中に存在します。
不自由帳のくだりはあまりに現実とリンクしていて驚いたのですが、ああいった物が必要な現実と必要なく育って欲しい理想の間で常に揺れ動く中、Uの両親の様に振り切れてしまわない様、これまでの作品の根底にあったもの。そして今回の剥き身のメッセージはしっかりと受け取らせてもらいました。
(また助けてもらいました。。。)
もう少し子供が大きくなったら西尾作品は是非読ませたいです。(さすがに聞かせるのは恥ずかしいので・・・)

以上が普通の世界にいない、ただ普通の人である私の感じた事です。

キャラクターや世界観、言葉遊びはあくまで方法・道具にすぎず、そこに目がいっていると確かに読みづらい作品ではあると思います。

| たっくん | 2011/09/08 14:53 | URL |

少女不十分 読んでて正直つらかった
でも生きててよかったと思いました

| 名無し | 2011/09/08 14:56 | URL |

これこそ趣味。
世に出すべきではない作品の金字塔。
それと同時に西尾だからこそ出版。
至上稀に見る会話分の少なさ。
シリーズ物にしないと娯楽作品が書けないのか?

| 名無しさん | 2011/09/08 22:25 | URL |

西尾維新という作家を前提に置いた非常に珍しい小説だとおもいました。
そして衝撃的でした。

| OTL | 2011/09/09 01:51 | URL |

Re: タイトルなし

まとめて失礼します。
面白いかどうかで語れる作品ではありませんでしたね。
でも、過去にどれだけ作品を読んでいたかで、見方が変わった部分があります。
たとえば会話の少なさに焦点を当てると、ニンギョウが浮かびますし、
登場人物の少なさを見れば、物語シリーズが挙げられます。
前と今で同じ条件で違う作品を書く、という部分をまた楽しめました。

| 管理人 | 2011/09/09 18:32 | URL |

なこと写本が読みたいOTL

| OTL | 2011/09/09 21:09 | URL |

誤字がある点ではJDCトリビュート作も思い出しました。

| 幽弥 | 2011/09/24 17:45 | URL | ≫ EDIT

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