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【感想】悲鳴伝

悲鳴伝 (講談社ノベルス)悲鳴伝 (講談社ノベルス)
(2012/04/26)
西尾維新

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新しい世界観の物語。
という意味では、少女不十分が出た昨年秋ぶりというところですけれど、
あれが現実に起きていたかもしれない異常な物語ならば、
こっちは現実が異常としか思えない、でも起きてしまった物語。
まあ言うなれば、戯言シリーズのような『設定』が多く混在する、
シリーズ化しようと思えばいくらでもできそうな、世界観重視の作品というわけです。
最長巨編の名に恥じないスペクタクルストーリー。
しかし壮大過ぎて、他の人はどう思ったのかが気になる構成。
コメント欄に感想、いくらでもカモーンです。
とまあ、あまりもったいぶってもしょうがないので早速感想を。

では続きにネタバレあり感想です。


出るキャラみんな、狂ってる。

これがこの作品に対して最初に抱いた感想でした。
まあここまではいつもの西尾作品に対する褒め言葉でしかなく、
それでも応援したくなるような魅力的なキャラクターばかりが、
懸命に生きる姿を描いた作品が過去に多くありますけれど、
この作品に関しては、主人公に感情移入が出来なかった。
それは、過去の西尾作品に出てくる主人公たちの場合は、
狂っていながらも、それでも心情を吐露しながら、
一人称視点で世界を見ていたことが、
感情移入への手助けとなっていたのかもしれません。
でも、この作品は完全な三人称視点の物語であり、
さらに主人公が自分さえも含めて、俯瞰的に物事を捉えているのですから、
これで彼ら彼女らの気持ちを受け入れろというのはどだい無理な話。
仮に受け入れられた気になっていたとしても、
それは『受け入れられた気になっている自分』を客観視しているだけで、
実はそうではないのだという気にさせられてしまう。
とんだストーリーテラーもいたものです。

舞台は現実時間である今からたったの半年後の地球。
2012年10月25日7時32分31秒から23秒間。
『大いなる悲鳴』という謎の災害が鳴り響き、
70億人いた人類のうち、23億人が死滅した地球が舞台。
もっとも、ときはそこからさらに半年後、
2013年5月27日から始まる、およそ1か月間の冒険譚。

まず、主人公について。空々空。
作中で散々英雄だと持て囃される彼だけれど、
そして西尾先生はそんな彼を指して、作中最も成長した、
過去の作品で一番似ているのは串中弔士だ、
など、高評価をしていたのに対抗するようでなんですけれど、
私からしてみれば、彼が作中で成長したように見えたのは、
冒頭の問診シーンだけで、確かにそこでは自己を知るという上で、
最も急成長を見せはしたものの、そこでカンストしてしまい、
あとは、ただ存在しているだけで周りに迷惑をかけるような、
まるでいーちゃんのような存在であり続けるだけのようでした。
西尾維新の作品に登場するキャラクター達は、みな変わります。
それも大体の場合は、誰かの死を目の当たりにすることによって。
それは第三者が第三者を殺害しているところだったり、
無関係に周りが死んでいく中で、あるいは自分が殺すことで、
形はさまざまであっても、その経験は急激に登場人物たちの心を揺さぶります。
でも、空々にはそれが徹底的に欠けていた。
『大いなる悲鳴』で親戚を失って、先輩たちを失った経験ではもちろんのこと、
作中で経験してきた、怪人を殺したときも、『火達磨』を倒したときも、
『恋愛相談』を殺害したときも、『蒟蒻』を見捨てたときも。
きっと『寸刻み』の首を締めていたときだって、変わらぬ心情だった。
正直、気味が悪い。
それならいっそ、無感動なキャラクターでさえあればいいものを、
『こういうときには、こういう感情を露見すべきだ』という知識があるから、
余計にたちが悪く見えてしまいます。

ちなみに、作中のキャラクター。
空々と飢皿木博士以外には基本、コードネームのようなものが、
それぞれに割り振られていましたが、そうではない、
本名の方があまりに現実から乖離していて違和感がありました。
不気味な苗字と不可思議な世界観のおかげで、
すっかりファンタジー色が強くなっていますけれど、
これはどちらかと言えば、現実に起こりうるストーリーとして、
真摯に捉えた方が楽しめる余地が残りそうな気がしないでもない。
もちろん何人かは、現実に存在する苗字や名前もいくつかありましたが、
それならばまだ、コードネームの方で呼んだ方が現実っぽい。
ちなみにそんな彼ら彼女らの中で一番気に入ったのは『再開発』。
現実との兼ね合いをつけつつ、ファンタジーな手伝いをする。
自身の感覚が乖離していたり、SFに洗脳されているよりはずっとマシに映ります。

そう、そのファンタジー、つまり地球対人類の構図。
間接的にこれにどっぷり浸かっている大人たちが奇異に映りますが、
そもそもこの設定自体破綻しているように見える。
だから、私は結局最後の最後まで果たしてそれが本当のことなのか、
どこかで種明かしでもあるんじゃないのかという気持ちで読み進めていたので、
最後に『主人公の成長らしきもの』を見せられて終わることに驚きました。
本来ならここで、『それは違う』、『間違っている』など、
否定的な意見を呈するキャラがいてもおかしくないのに、
まず主人公がそれを受け入れてしまうのだから話は堂々巡りにすらならない。
結局、本当に人類と『地球陣』の戦いの図式が出来上がっているのか。
それすら曖昧なまま、それはそういうものなのだろうという主人公の認識のもと、
物語は幕を閉じてしまいました。
強いていうなら、途中にでてきた園児、『地球』そのものが、
この先のストーリーをひっくり返す鍵であったかもしれませんが、
ひっくり返すほどの突発的行動を起こすキャラとしては、
空々はいまいち弱かった。
そこに関しては全くといっていいほどヒーローには向いていませんでしたね。

と、ここまで否定的な意見ばかりになってしまいましたが、
もちろん面白かった、というのが感想です。
ただ、こういう場面では『面白かった』というのが感想の定石で、
自分の中には実はそういった感情がこれっぽっちも無いのではないかという、
完全に主人公に感化されてしまっている自分が悔しい限りですけれど。
でももう一度言いたい。面白かった。
王道のヒーローものをラインに敷いておきながら、
ここまでそれを邪道で塗り固めていった作品が、過去にあっただろうか。
ヒーローとは、他人に理解されないもの。
正義とは立ち位置を異にするものだというのは、王道中の王道ですが、
他人からどころか自分自身を理解しきれていないのが実に西尾作品らしい。
作中では、多くのキャラクターたちが死んでいったけれど、
世界観自体は閉じていない。
どころか、1年後、同じ事が繰り返されようとしている。
そしてそれが地球規模の事態なのだから、
これから先、違う主人公などでいくらでも世界観を広げていくことはできるはず。
もう一度読みたいと思った。
でもできるなら、読み終えたとき心情を吐露できる人に隣にいてほしい。
ヒーローとは孤独な存在で、理解者を常に求めているからかもしれない。
最後くらいは、王道ヒーローっぽく浸らせてほしいものです。

| 未分類 | 21:28 | comments:11 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

久しぶりに感想を書かせてもらいに来ました。今までそんなに感想を書いたことの無いにわか野郎ですが・・・
僕の個人の感想としてまず。

読みにくいよ!話がじゃなくて本の形が!本がへにゃへにゃになっちゃうじゃないか!
そんなどうでもいい感想はどうでもよくて、
内容の感想です。

確かに面白かったです。
でも読後に感じたのは面白さよりも淋しさでした。

最後のシーンだけじゃなく、何というか人がさっくさっく死んでいくというのが淋しかった。と言うより虚しかったって感じですかね。
僕はまだ高校生なので現実の無情さとかそういうのを全然理解出来てないです。でも人が、他人が苦しんでるのは理解できて共感できます。
だから本を読むとキャラに感情移入して、しかもハッピーエンドを望んでしまいます。
結局、管理人さんが書いたのと同じ様に、僕も主人公に共感出来なかったんだと思います。
しかも起こる出来事は酷い事ばかりで救いも殆どありませんでした。

フィクションみたいな現実の虚しさを感じたんだと思います。

文が下手でスイマセン。

| pwonomd | 2012/04/26 22:50 | URL |

確かに空くんが一番成長してたのは最初だけで後はずっとフラットでしたねw

空くんの気味の悪さは、多分いーちゃんを三人称で見るとあぁいう風に見えるのかなと
戯言使いとの関係において咲さんが抱いたドス黒いいーちゃんの印象や「はぁ」という口癖?からなんだか被ってしまいました
そんな彼も最後の三行の行動が救いかなー
終盤の行動は無感動でありつつも剣道さんありきでタイムラグ無しに動いてたのは
誰もいない中国語の部屋に剣道さんが入ってきてくれたのかなと

むしろ剣道さんの救われなさがぱないんですが
撲滅軍に拉致られ悪行らしい悪行も結局は撲滅軍のせいで…

前の人の感想と同じく寂しさというか、ほぼ誰にも救いがなくて虚無感の大きい作品でした
いーちゃんが友と出会って皆殺しだかした事件はこんな感じの内容だったのかも

| 通りすがり | 2012/04/27 08:02 | URL |

出来損ないの戯言模様

 どうもこんにちは。悲鳴伝感想で探してこちらに行き当たりました。

 私自身は、なんというか読んだ後の味の悪さと、キャラクタの壊れ方に戯言シリーズをちょっと思い出しました。おそらく大震災のネタも入ってることではありますが、でも、なんというか……。「あぁ、いつもの西尾か」って印象も(通称萌えキャラ殺し)。


 でも、特に理由はありませんが……。読み終わった後に「これはサヴァンじゃない青色サヴァンと戯言を遣わない戯言遣いのお話」という文章が脳裏をよぎりました。

 ……あと下手すると、もしや西尾維新史上、一冊での死者数は(本当に全部含めると)最多?

| 通りすがり | 2012/04/27 08:55 | URL | ≫ EDIT

どうも初めてコメントさせていただきます

空々くんは戯言遣い以上に何も感じないキャラに見えましたね
ただ戯言遣いも誰か(主にみいこさんと潤さん)に諭して貰って初めて心情が動くキャラだったのでそれほど気持ち悪い感じはしませんでした

>『こういうときには、こういう感情を露見すべきだ』という知識
これの件ですが実は終盤に入ってからはもうこの行動してないと思います
キサラギ博士が来た際にも「人間らしい行動」は無意味だと素のままになり
逆に無意識のうちに剣藤を助けに行くという人間らしい決定を阻害するものになってましたし
そしてその無感動さを隠すことなく花屋に対応してました
だから最後の抱きしめる「らしくない」行動は誰にも諭されずに成長出来た姿かと思いました
(厳密に言えば博士や剣藤から間接的に諭されているのですが)

世界観投げっぱなしには、もういつも通りだなー
続編があるならむしろ空々くんでもう一度戦って欲しいですね、最後に示されたヒーローになってもらいたいです
ただ今作は徹頭徹尾、誰もが救われない話だったので
言われている通りカタルシスが欲しいですね

| UUD | 2012/04/27 15:31 | URL |

途中で止められず、一気に読んだので寝不足です。厨二と言われようが何だろうが、「この人らしいなあ」と思わせるモノを西尾さんは持ってると再実感しました。

空君に対して自分の理解が固まってないのでモヤモヤがパナいですが、今の自分の理解では、空君は結局「動揺せずに事態に適応する」能力がずば抜けて高いだけで、感情も心も普通に持っているんじゃないでしょうか。

空君が勝手に「自分は平気である」と捉えて自分が冷酷だと認識してますが、ただの厨二病で、それを異常というならばみんなそうだろう、というのが今の感想です。

あと剣藤さんカワイソス(´・ω・`)。

| 名無し | 2012/04/29 23:45 | URL |

以下、感想。

空々空。個人的には結構好きなキャラです。読んでいて、うわまじかよこいつと思いつつも、彼の活躍をもっと読みたかったですね。

『無感動に受け入れる』ことしか出来なかった空々が、『無感動のままに心から感謝できた』ことが彼の成長なのかなと。
まあ、無感動な少年が成長しようと本質的には何も変化しないとろが西尾維新らしい。

そして、この読後感は久しぶりですね。何とも言えない後味の悪さ。

| なうしろ | 2012/04/30 04:59 | URL |

剣藤が何故、悲鳴を聞こえなかったのかだけでも説明して欲しかったなあ。 

いや、面白かったんですけどね。

|    | 2012/05/01 02:45 | URL |

空は剣藤に対して、342ページで既に
「ありがとうございます」と言ってる。
423ページでは「未だ一度も言っていない」とあるのに。

おそらく校正段階でのミス(見逃し・消し忘れ)だと思う。

そのせいで最後のオチというか、
締めの部分が台無しになった感は否めない。
(あるいは「一度言ったはずなのに、一度も言っていないことになっている」
ということが何らかの意図・伏線によるものなのか?
……まぁ、まずありえないだろうなぁ)

全体は悪くなかっただけに
もったいない。

| 丸めた新聞紙 | 2012/05/01 20:43 | URL |

空々くんと、他の登場人物の関係はそのまま地球と人類の関係になるね。
地球はなにも感じないしありのままを受け止める。人類が、地球に住む生き物を絶滅させようと、ありのままを受け止め、共同生活を送る。
地球に感謝したって、英雄視したって、所詮それは利用してるだけ。
どれだけ偏執的に地球を大事に思ったって、そんな人でも災害で死ぬ。つまり地球に殺される。地球は何とも思わない。エコな人たちはそんなときでも地球のせいにはしない。
人類が絶滅する最後にお礼を言う。
地球で繁栄してくれた礼と、かつて地球に与えた悪影響への仇討ちと、その他色々なことへのお礼。それでも地球は何とも思わない。だって地球だから。

| 人参 | 2012/05/25 02:03 | URL | ≫ EDIT

これは深読みしすぎかも知れませんが、”空々空”の成長は作中の全ての時間で起こっていたと僕は思っています。
皆さんも気がついてると思いますが空々が酷く気が付かないだけで・・・。行動から心境の変化が感じ取れた。
それの決定的だと感じたのが、犬个の最後の”死”の決定打を与えていない事(コレは他の人と意見が違っているようです)が”成長”しているんだなと。これには”左在存”との関わりが必然でしょう。そして犬个の願いを聞き入れようとして、恐らく始めて触れた”他人”に感極まっている。
最後の文章でそう感じました。
だって彼は、犬个が”冷たくなって”からその手に力を入れたのですから。

彼を最後に一言で括ると”自己肯定”が出来ない”多感な少年”だったそんな気がします。

| のぶ | 2012/05/27 00:48 | URL | ≫ EDIT

この物語の中で、空々空は成長していたんだと思う。
感情も少しずつ芽生えていたと思う。
ただ本人が、感情がないと思い込んでいるだけで。
そう信じたい。
だって、そう信じていないと、誰も救われないから。

| アオハル | 2012/08/08 15:12 | URL |















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