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【感想】暦物語

暦物語 (講談社BOX)暦物語 (講談社BOX)
(2013/05)
西尾 維新

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さあさ、ついに発売となりました。
<物語>シリーズ第十四作目。
暦物語です。

西尾作品として、この短さの物語群を、
一冊の本にまとめた短編集というのは初で(佰物語はさすがに例外?)、
そうですね、本当ならきっと『なこと写本』が最初になると思っていたのですが、
ことごとく、西尾作品の『初めて』をかっさらうシリーズです。

しかし短編集だからといって侮る無かれ。
いくら100%突然書かれた小説といえど、
しっかりとシリーズ本編に食い込む作品です。
これを読み飛ばして次の終物語に入ろうとすると、多分、泣きます。
まあ、それこそ夏といいつつも、実際はいつになるやらなので、
これを何度も読み返して待ちたいところですね。

それでは、実に去年の秋ぶりの物語シリーズ本編。
続きに、感想と参りましょう!


本編にのっとって、ひと月ずつ書いて行きたいのですけれど、
まずその前に全体的な部分から。
この短編集のコンセプト。
短編集といいながら、この十二話の物語群にはある共通点テーマがあります。
ひとつは、それぞれのキャラクターにとっての、『道』。
そして、『自然』が怪異の主題に置かれているという点です。

道。ロード。
ロードオブヴァンパイアとか、ヴァンパイアロードとか。
最近じゃ某パズルなドラゴンのゲームでも目にしますけれど。
割と吸血鬼とセットで語られるフレーズでもあります。
道とはスペルが変わってしまうのですが、『主』とか『卿』という意味だそうで。
もちろん、暦が十二ヶ月で歩んできた道・・・という意味もあるのでしょうが、
私は先にこちらを想起しましたね。

そして、『自然』。
これは私が勝手にもう一つのテーマとして意識してしまっているというか。
最後の方とかまったく関係なくなってくるのですけれども・・・。
怪異――妖怪のことを、Supernaturalと表現することがあるそうです。
スーパーナチュラル。超自然現象。
かつて日本人が災害を祟りだと称したように。
『人』と『自然』が絡み合って生まれた十二篇の物語が、この一冊。
それでは、さっそく・・・。



【四月 こよみストーン】
『石』。
単純な感想を述べてしまうと、オチが一番秀逸だった一篇ですw
暦は入学したてのときからこんなに、こんなに・・・こんなだったのか。
おかしいな、入学してからしばらくは頑張ってたとかなんとか言ってた気が。
技術でさえついていけなくなる進学校って恐ろしすぎる・・・。

祠のようなものに、なんとなく信仰心をいだいてしまうという今回の話。
これを見て、ひとつ思い出した話があるのですが、
ある地域で、あまりにゴミのポイ捨てが多すぎて困った自治体が、
対策として、手のひらサイズの小さな『鳥居』をゴミの多い通りに並べたところ、
ゴミのポイ捨てがぱったりと止んだ・・・という話があります。
人の信仰心というのは不思議ですね。
信教の自由が認められているこの国で、果たして本気で神に祈る人がどれだけいるのか。
というか、仮に仏教を信仰するような心を持ち合わせているのならば、
善行を積むことがまず第一にあるようなものなのに、
果たしてゴミを捨てる人がいるのかという話で。
だから、結局人の心なんて滲んだ絵の具のような、曖昧な境界線に囲まれているものなんです。


【五月 こよみフラワー】
『花』。
今回は自然に生えている花ではなく、花束なわけですけれども。
まだギラギラしている頃のひたぎさんですね。
ツンドラ時代。
というか、「お友だちになってくれると嬉しいわ(ニコッ」ってやった、
その翌日の話なんですよね、これw
えーーー。これは人間不信になりますよ阿良々木暦くんは。

自殺の名所・・・と、まあ物騒な話ではありますけれども、
自殺の名所といえば、やっぱり樹海とか思い浮かびますね。
実際にこの目で見に行ったことはないのですけれども、
そこには自殺防止の看板だったりとかが立てられているとか。
そういったものをテレビで見る度に、どうして伐採してしまわないのだろう?
と子供ながらに疑問を持っていましたが、いざそういうプランを脳内で練ろうとすると、
なるほど面倒くさいというか。
大人って大変なんだなあと実感できるようになってきたのが辛いですね。

しかし、実際樹海が無くなってしまえば、自殺志願者の行く先がひとつ減ります。
この話も同じで、あらゆる学校の屋上を、物理的ないしは心理的に、
自殺スポットから除外するという点は、それだけ自殺志願者の行く先を絞ることになります。
そうしてひとつずつ可能性を潰していって、完全に潰えたとき、
彼ら彼女らは何を思うのか。
どうあれ、一人でもそう考える人が減って欲しいものですね。


【六月 こよみサンド】
『砂』。
さっきから地面に関することばかりが続きますけれど。
でも人間なのだから、一番地面に近いところで生きる、人間の話なのだから、
こうなるのも必然というか。
ともあれ、八九寺ですよ!!鬼で現世を去ってしまった、蝸牛の少女。
今回の話の良い点というのは、過去のキャラが登場する点ですよね。
しかも過去のシチュエーションで。
忍野なんかももちろんそうですが、テンション上がりますわー。

そしてこの話の、鬼の真相。
まあ、これはさすがに無理があるかなあと思いましたね。
確かに、砂場というのは器に盛られた砂の山であり、
底があるという悲しい事実は、幼稚園の頃遊んでいて知ってしまったことではありますが、
たしかに、底がガタガタだったのも覚えています。
でも、そのガタガタに合わさるように砂が形を変えるのかといえばそうでもなく。
形が変わる前に、人為的に形を変えられてしまうんですよね。子供の手によって。
長時間、砂の重みと重力という自然の力によって徐々に変わっていく隙を与えない。
自然の回復力を待つことなく、自然を破壊していく大人たちの、
これはまるで縮図を見ているようで。
子どもたちがそれに気づくのは、いつになるのだろうか。


【七月 こよみウォーター】
『水』。
ようやく属性が土から水に変わりました。
これをもってすれば前のみっつなんて、こうかはばつぐんだ!
さて神原の話。というか、神原の部屋の話。
私も、まったく部屋を片付けるのが苦手で。
まったく苦手とはどういう表現だと思いますが、思わずそう言いたくなるほど、
部屋の片付けが苦手です。
この部屋を片付けられない、ないしは部屋を散らかしてしまう人間というのは、
ものを捨てられないからだとか、ものが多いからだとか、整理整頓が云々かんぬん・・・。
でも一番の理由をあげるとしたら、『その行為が楽しくないから』なんですよ。
ではさらにそこから理由を遡ってみれば、小学生の頃に毎日一時間も時間をとられていた、
掃除の時間が原因だと思っています。
何事も強制はよくないなというお話。。。

で、水の話ですけれど、後輩の家のお風呂を借りるというのは、
なかなか抵抗がありそうな話ですよね。
まあ、私は部活にほとんど参加していなかったので、
後輩という後輩がいなかったのですけれど。
だから人の家のお風呂事情とかあまり知らないのでなんとも・・・。
ただ、漠然と嫌だなあということが伝わってきます。
でも、そういう神秘的なストーリーがあるお風呂だったらいいのかも?
私の家のお風呂なんて、せいぜい頭を洗っているときに、
背中にバッタが天井から降ってくる程度の逸話しかありません。
マジびびった・・・。


【八月 こよみウィンド】
『風』。
というか、風の噂。
噂話を、噂だ――と認識するのって、なかなか難しいと思うんですよ。
アニメや漫画じゃよくある話で、しかも現実的な話だから、
意外と受け入れちゃっているなーというところがあるのですけれど、
じゃあいざ、今自分のまわりで流行っている噂は?と聞かれたとき、
回答に困ってしまいます。
私に友だちが少ないという説もありますけれど・・・。
とはいえ、噂というよりは、いつの間にか自分の中に知識が落とし込まれていて、
その話題を『噂』という段階で認識するのはほぼ不可能のように思います。
まったく知らないか、もしくは真偽はどうあれ完全に自分の所持する情報と昇華しているか。
どっちつかずの曖昧な『噂』を『噂』レベルで持ち続けるというのは、
想像するだに気持ちの悪い話です。

しかしながら、今回貝木が語った、騙った噂のシステムというものには、
なんとなくしっくりくるものがあって。
人って常になにかに飢えているものだから。
完全に飢え、干からびようとしているそのときに水をあたえてやれば、
その吸収力といったらないのでしょうね。
しょっぱなの地面三連続じゃあないですけれど、
やはり人間は地に一番近いいきものである、と。


【九月 こよみツリー】
『木』。
こよみフラワーで、ずっと樹海の話を思い浮かべながら読んでいたので、
ここでまた木の、しかも伐採(という名の蹴採)にまでつながるとは・・・。
しかしこれもまた、怪異の話ではなく人間のお話。
ファイヤーシスターズの二人の話は、この次のこよみティーも含めて、
人との距離、関係性に重きがおかれた話。
どちらも自分だけがアブノーマルな位置に立たされたとき、どうするのか。
それを姉妹それぞれを主軸にしてつくられたお話。

自分が少数派に立たされそうになったとき、確かに私も多数派に回ることがあります。
だってその方が楽ですからね。
私が『道』を語るとしたら、それは『動く歩道』のことを指します。
自分から修羅の道を選ぼうなどちゃんちゃらおかしい。
まあ、そんな生活をしているからこそ、いざ歩道が急停止したときにつんのめって、
普段身体を鍛えていないから大怪我をしてしまうのですけれど・・・。
火憐には、きっと私の動きが止まって見えるぐらいなんだろうなあとか考えてみる。


【十月 こよみティー】
『茶』。
とまあ、このへんから自然の定義が曖昧になってくるのですけれど。
どちらかと言えば、今回のテーマになっているのは、
『お化けの話』。
ならば、タイトルは『こよみゴースト』と名付けるのが正しいのでは?となりますが、
まだ死んでねえよ。まだね。
だからこの話は、茶飲み話にするような他愛もない話。
それゆえの、ティー。

君の言いたいことはわかっているけれど、まあまあ。
ということは、よくある話ですよね。
月火はよくある話とされることをひどく嫌がりましたが、
それでも、よくある話なのです。
こうなってしまえば、もはや違うステージにいるとしか見て貰えない。
真面目な話をふっかけているときほど、こんなもどかしい状態はない。
他人に感謝こそされど、理解されないというこの状態は、
なるほど、正義の味方らしいというか・・・。


【十一月 こよみマウンテン】
『山』。
正直、この話はよく覚えていない・・・というか。
いや、こよみの真似をしたいわけではなく。
一番、頭に入って来なかったストーリーでした。
さきほどの掃除の話ではないですけれど、興味がないわけじゃない。
楽しくないわけじゃない。
そうですね、強いていうならば、畏怖の対象だからでしょうか。
味方はもちろん、敵だって裏事情を知ってしまえば感情移入できます。
しかし、彼女は、忍野扇は何を考えているのか分からない。
目的が見えない。ゴールが、そもそも道さえ見えやしない。
だから、すっと頭の中には入りづらいのだと思います。

で、テーマは山だったけれども、もう少し踏み入ると神社の話。
神社というのは、とにかく自然と調和していますよね。
すべての神社仏閣を知っているわけではないから、なんとも言えませんけれど、
やはり昔の、神を信仰していた人々は自然の中にこそ神はいる、など、
現在の我々とはまったく思想を異にしていそうです。
いつかはこの北白蛇神社の過去の話も知れればよいのですが・・・。


【十二月 こよみトーラス】
『ドーナツ』。
いやいやそんなわけがない。
話題が逸れすぎている。
だからここはまんま、『トーラス』をテーマとした方が良いのでしょうね。
漢字で書くならば、『円環』といったところでしょうか。
しかし、『トーラス』型なんてなかなか思い浮かぶものではないですけれど。
特に自然に限って言えば、絞られていきます。
でも、ひとつだけ思いついたのが、『星』。
星をとりかこむ円形の輪。
あれを、『ガストーラス』と呼ぶらしいです。
土星の輪っかとかも、そうらしいですね。
あれは磁力によって生まれた形らしいですけれど、
なかなか壮大でスペクタクルな話じゃあないですか。浪漫があります。

しかし残念ながら今回の話は、そんな神秘的なものとは程遠い。
撫子が神になっちゃって大変なことになっているというのに、
レギンスで目と口をふさぎながら、仲良くドーナツ探しごっこをしているのが、
今回の登場人物二人です。
羽川さん、もっとキレていいよ。
これはブラック羽川になって良いレベル。
忍とは、絶滅の瞬間まで、こうして仲良くしていてほしいな、
とは思うのだけれど。


【一月 こよみシード】
『種』。
で、いいんですよね?
ここで競技における初戦無条件パスの、あのシードを指しているとは考えにくいし、
何度も登場したフラッグ――フラグは、言い換えればきっかけのこと。
火種ともいう。
暦と、詐欺師の遭遇という火種を事前に摘み取る。
それが今回の話の裏主軸。
とまあ、そういう名の、ただのギャグ回でもありましたけれどね。

でも、ここでもし遭遇していたなら、撫子は助からなかったのかなーとか。
撫子が助からなかったならば、この次の話の展開も違ってきたんのかなーとか。
そう考えると、種も、フラグも合縁奇縁なものですね。
ただ『会った』だけですべてが変わってしまう。
『縁が《合った》らまた会おう』という、西尾先生の別作品のキャラがいますが、
つまりは、『会う』という行動はそれだけ意味を持つということです。


【二月 こよみナッシング】
『無』。
としか、書きようがないですよねー。
しかし、このテーマが意外と合っている。
神のいない神社に、使役者のいない式神。
鏡に対して実態をもたない吸血鬼や・・・ああ、
自然法則をあって無いようなものにしてしまう、怪異に対するミーニングも持っていそう。
でも今回の主軸になるのは、あくまで怪異の専門家の人間と、
怪異になることも人間に戻ることもできなかった一人の青年の物語。
そちらも、『いない者』ではなく、地に足をつけ、存在する『人』。
『いない者』なんていうとまるでAnotherみたいですが・・・。
あ、影縫さんは地に足をつけていなかったですね。失敬。

強くなりたいから修行を。
なんて話は少年漫画じゃよくある話ですけれど。
そして今回の暦もそのつもりでことを進めていたのでしょうけれど、
それが逆に変な結果を招いてしまったのだから、暦の主人公度たるや。
高いのか低いのかという話ですね。
でもまあ、高いのでしょうか。
暦のちょっとした考え、思いつきは、一人の女性を消した。
始末させた。
この物語から。


【三月 こよみデッド】
『死』。

臥煙伊豆湖の振るう、怪異殺し。

阿良々木暦の死――そして。

八九寺真宵の復活。

物語は、加速していく。



はい。
というわけで、十二編をなんとか語ってみました。
さすがにラストは衝撃的過ぎまして。
最初にサブタイトルを読んだとき、まったく想定しなかった。
心の何処かではわかっていたのかもしれませんけれど、
『物語シリーズは、生の物語だ』というかつての西尾維新先生の言葉を。
まんま鵜呑みにしていたのかもしれませんね。
いよいよ終わろうとしている。
次巻、終物語で物語はどのような展開を見せるのだろうか。
夏を待て!!!

| 物語シリーズ | 22:13 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

なんだか分厚いにも関わらず一気に読めてしまいました。
一つ一つの話が短いからでしょうかね。

| 通りすがり | 2013/05/23 00:39 | URL |

読む前は憑がちょい微妙で終に期待してたからここで暦物語ってえーっと思ってましたが、短篇集ってことで久々に会話が楽しかったですわ。
まあラストはここ最近いつも通りの超展開でびっくりしましたがw
八九寺復活がまじなら終物語への期待がヤバイです!

| 空 | 2013/05/23 01:55 | URL |

4、5月と初めは読んでいて懐しく、特に『こよみサンド』では「はちくじーーーーーーーーーー!」 と思わず叫んでしまいましたねw

まあ、ラストが衝撃的すぎて他の全てを持って行ってしまいましたけど。


そして、終物語。否が応にも期待が高まりますね!
いったい<物語>に何が起こっているのか。夏が楽しみです。

| なうしろ | 2013/05/26 07:22 | URL |















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